「自意識過剰め。お前があの大名に適うはずがないだろ。侍らす女の数が違う」
「ああ。それがあの大名さぁ、あの女と出会ってからそういったことを一切やらなくなったって城下の奴らが言ってたぜ」
「…………そんな馬鹿な」
──────大名など、己の権力で支配する奴らだ。
城下ではそんな噂を立てておいて、きっと内密にやっているに違いない。
そう思ったから、トンビは鼻で笑うつもりであった。
「────そんなことが、あるんだよね」
不意に頭上から声がした。
二人は肩を震わせて上を見上げると、そこには一本上の枝に…──────
「ゆ……悠っ」
今までにない冷徹な瞳で悠は政宗とひすいを見下していた。
「あれほど…言ったのに、ね」
「悠、どうしたんだ。俺たちに二人の様子を見てこいと命を出したのはお前だろう」
ツバメもトンビもいつにない悠の雰囲気におずおずしながら訊ねる。
だがしかし、悠は二人の存在を無視するように独り言を続ける。
「君は、僕のモノでしょ?ねぇ…、<鷹>の頭領─────」