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「ありゃりゃぁ…、あんなに仲良しこよしで。よくもまぁ、見せつけてくれますね〜」







庭先の松の枝に二つの影があった。




しかし、彼らは月明かりの逆光で縁側に座る男女に悟られずに済んでいる。




さらには、微かな気配さえも消しているため、二人の男女は気づくことはなかった。








一人の特徴は赤髪─────






「あれを悠が見たら、俺らどうなるんだろね」




松の枝がささと揺れるに従い、その束ねられた赤髪も揺れていた。





「ツバメ、お前楽しそうだな」





そしてもう一人の特徴は長身─────





腕を組み、冷ややかな眼で庭を覗いていた。







「はっ、楽しい?あんなに見せつけられてどこが楽しいって言うんだよ、トンビさんよぉ〜」





赤髪のツバメは股を開いて枝に屈んでいた。






「おもいきり、声が楽しそうだったな。何だ、悠に痛め付けられるのがそんなに嬉しいのか」





「んなわけあるかっ、阿呆。俺はあの二人が気に入らない」







ツバメは膝の上に肘をつき、不貞腐れた顔で口を尖らせた。







「あの女を取られたからか」





「…………俺の口付けの方が断然上手い」






ぼそっと呟いたツバメの声に、トンビは鼻で笑ってやった。