「違う…──」
そう、違うのだ。
彼は誤解している。
「俺はあんたに気を遣った訳じゃない。本当のことを言ったまでだ」
─────政宗さん、
あんたの左眼には何がいつも見えるんだ?
「天下…─────」
「なに…?」
政宗はひすいの発した言葉に反応し、少しばかり目を開けた。
そうさ、あんたは天下を取ることを野心としているから─────
「誰よりも、あんたの瞳は澄んでいるんだ…」
「ひすい…」
呼ばれたのを返すようにひすいはにっこり笑った。
「揺るぎないその隻眼の視線。その先にはいつも天下統一をした日の本を見ているんだろ?だから、あんたのそれは澄んでいるんだ。醜いなんてあるわけがない…、俺がそんなことを言わせない」
真っすぐに彼を見つめた。
─────この言葉に嘘偽りなどないと、これが自分の本音であると伝えたかった。
政宗は口を開けてぽかんとひすいを見つめていたが、ふっと頬を緩めるとそのまま彼女を抱き寄せた。