初めて人を愛すことを知った今、口付けをする意味が大きく変わっていた。
始めは生きる手段のために使い、次は<獅子>の存在により憤怒の原因となった。
だが今、これは希望へと変化していた。
「──口付けには特別な意味がある。それは、お前もわかっているだろう。…ひすい、いいな?」
こくり、と頷いた。
そんなひすいへ笑みを滲ませて政宗は目を細めると、静かに唇を落としてきた。
─────…優しい口付けだった。
どこか儚げに接する彼の唇がいとおしく感じてしまう。
包み込むような政宗の口付けは、確かに愛を感じた。
薄ら開けたひすいの瞳は政宗をとらえる。
その隻眼は優しさで満ちていた。
それだけで幸せを感じて、安心して瞳を閉じた。
それが暫し続き、離されたかと思えば、次には首筋へと這っていく。
「……んっ。い…やっ───」
愛されているのはよくわかる。
その形が今の政宗の行為だということも。
しかし、どうしても重なってしまう…
幼い頃から感じていた男の体温や、その唇の感触、そして自分を絞め上げるように抱擁する腕───
どれも政宗ほどの愛に満ちたものはない。
だが、それでも重なってしまうのが恐ろしくて、また、自分が嫌だった。


