奥州の山賊







「政宗さん、俺……っ…!」





ひすいが言おうとしたとき、ふいに口を手で制された。







「お前から言わせるのは止めだ。……やはり、『その言葉』は女子から言わせるものではないな…」





そう言うや否や、政宗は耳元に顔を近付けて、囁いた。







「……お前を、愛している」







以前からさんざん聞いていたが、今のはそれ以上に思いがこもっているのがわかる。




甘い吐息がひすいの耳を掠めた。





「……んっ…!」





「──────馬鹿者、そんな声を出すでない。…自制が利かなくなってしまうだろ」






「お…俺だって、出したくて出してんじゃねぇんだよっ」






二人が言い切った後、じっと見つめ合い、そして同時に笑った。








「聞かせてくれぬか?お前の、思いを…────」







そんな優しく見つめる政宗に向かって、ひすいは目尻を下げて微笑んだ。








「俺も…、好きだ」








遠慮がちなひすいの声を聞き、ふっと笑みを溢して政宗は彼女の髪を撫でる。




それから頬を触れ、顎を通って唇に政宗の細長い指がたどり着いた。






この仕草が何を意味しているのか、すぐにわかった。









だから、やはり恥ずかしいものがあるらしく、ひすいは顔を火照らせる。