しかれども、それを見てどうだろうか。
白く輝いた、まるでひとつの宝石のようであった。
ひすいは物珍しそうに手に取り、一口含んだ。
「……………………うめぇ」
塩気の効いたほくほくした米は噛めば噛むほど甘みを増していく。
これほど美味なるものを食べたことはない。
「真でございますか!?」
梵天丸も嬉しかったらしく、ひすいの喜ぶ顔を見てにっこり笑った。
「もっとお食べ下さい!中には梅も入ってございま──「酸っぱ!」
「………………母様、梅は初めてでございましたか」
カリッとした瞬間、条件反射のように眉間に皺が寄り、口が尖ってしまった。
「め、眼がぴくぴくする……」
まだ梅の酸が口の中を独占する。
しかし、嫌いにはなれない感覚だ。
「ふふっ!それは誰しも梅を食べるとなってしまうものなのです」
「そうか─────」
城下に住まう人々はこんなに旨いものを食べているのだと思うと、少しだけそんな生活を夢見てしまう。
叶わぬことだとはわかっているつもりなのに、それを望んでしまう自分がいた。
「しかし…、これほどまで上手くできるのか。梵天丸は器用だな」
感心して、二つ目の握り飯をまじまじと見ていると、梵天丸は罰が悪そうに苦笑いした。


