奥州の山賊







「な、なんでもねぇ…」





と視線を逸らして、ぶっきらぼうに言った。







「母様!何が食べたいですか?母様の食べたいものを僕が作って差し上げましょう!」





梵天丸は身を乗り出すように言い寄った。



彼の背後で、母を困らせるでないと言っただろ、と言う政宗の声には全く聞く耳を持っていない。






ひすいが危篤状態のとき、もしもの場合に備えて梵天丸にはこの部屋の出入りを禁止しようと政宗と小十郎との話し合いで取り決められていた。




それが今日、だいぶひすいの状態も快方に向かっているので許可しようと話つけたところ、彼女は意識を取り戻したのだった。







梵天丸にとっては久方の母との再会に胸を躍らせているのだろう。



何せ、あれからひすいは源九郎との夢を六日かけて見ていたのだから…─────









そんな梵天丸を愛しく思い、ひすいは静かに微笑んだ。






「そうだな…、お前は何が作れるんだ?」





「はい!僕は握り飯が得意でございます、母様」






「そうか。なら、それを作ってきてもらおうかな…」






「わかりました!少々お待ち下さいませっ…!」







そう言って梵天丸は勢いよく立ち上がり、たたたと台所へと向かっていった。