奥州の山賊





ひすいは不服そうに口を尖らせた。



それを見た源九郎はなだめるようにまあまあ、と呟く。





「────だがよ、譲ちゃん。それは自分で見つけなきゃいけねぇ代物だと俺は思うんだな」




「…そんなこと、知ってっけど…わからないからよわってるんじゃないか」





ふてくされたようにぶつぶつと言っているひすいに苦笑いで源九郎は頬をかく。





「まぁ、なんだ?俺も一度は抱いた感情だ。それに思い悩んでこそ、真の人間になれるだろうからよ…」





「な、えっ…、源九郎もあるのか」






「譲ちゃん、冗談はよせよ。俺だって生粋とまではいかねぇが、人間の端くれだ。それくらいは持ってたさ。………まあ、俺の場合、それを知るのに失ってから気づいたがな」








──────…初めて見た。




源九郎が無理に笑っているのを…────







この人の笑顔は散々見てきたが、ここまで寂しくなるような笑顔は初めてだった。





いつも源九郎はお日様のように笑っていた。



白い歯を見せ、にかっとする顔がひすいは大好きだった。




それが今、にかっとしているはずなのに、ひとつもそれを感じない。



むしろ、これ以上訊かないでほしいと言われているようで、ひすいは言葉を発することができなかった。