政宗は頬にあてた手でひすいの頭を撫で、その場をあとにした。
───……
─────…………
─────まだ、触れた額にぬくもりが残っている。
むしろそのぬくもりが全身に広がり、包まれているような感覚に陥る。
それは冷めることを知らないのだろうか…──────
────否、自分自身が冷めてほしくないと思っているのだろう。
政宗はひすいが泣いていたことを、自分は助からないのではないかと考えていたからだと推測したみたいだ。
しかし実際はそうではなくて、あの見知らぬ男の行為によるものであった。
─────男に口付けをされて泣くのは二度目である。
何故泣いたのか、ひすい自身にははっきりしなかった。
悲しかったわけではない。むしろ、怒りが勝っていた。
では、何故────
─────そういや、さっきの政宗さんの口付けには泣かなかったな。
あれは、唇ではなかったからか?
そう思うものの、たとえ唇だとしても泣かないだろうと囁く自分がいる。


