奥州の山賊







男は寝間着の上からひすいの腹部に触れた。






「…うっ────!」





「あ、痛かった?てっきり気を失っているんだと思ったから、患部に触れてもいいかなーなんて思ったけど…」







そうは言ったものの、男はひすいの腹部から手を離れさせるようなことはしない。




むしろ、その傷痕を労るように優しく撫でた。







「あー、痕ができちゃってるね。女に傷物は痛いなぁ。でも、俺はそんなのお構い無しに抱けるけどね」








男は不適に微笑んで、そっと離した。







「………さて、俺はそろそろ行くかな」







男は重い腰を持ち上げるように立ち上がる。







「………………ま、……………て─────」






ちょうど襖に手をかけたところで、背後より蚊の鳴くようなか細い声が聞こえた。







「すっげー…。解毒剤を与えてから間もないのに、もう話せるんだ?」





男は軽快に笑った。






「な……ぜ──────」






「あー、ダメダメ。それ以上話せば身体にもその傷にも良くないよ?」









ひすいが目を開けられないことなどお構い無しに、その男は人差し指を自分の唇へとあてた。








「みなさんには内緒。………その、理由もね。─────それじゃぁ、『<鷹>の頭領』ご機嫌よう〜」







男がそう言い放って部屋から出ていくと、その気配は一瞬で消えてしまった。