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真っ暗な中を、ひすいは漂っていた。
幸いにも、外の感覚を失っているわけではないらしい。
目は開くことはないが、先程まで慌しく走り回る足音が聞こえていた。
それが今、物音ひとつさえしない。
もしかしたら、今頃外は夜になっているのかもしれない。
痛み…─────というより、全身を包むような暑さがまとわりついている。
一瞬でも気を許してしまえば、もうこの意識が永遠に戻ってこないような気がした。
だからひすいは朦朧とした意識を自らの気力のみで保っていた。
自分の荒い息遣いが聞こえる。
─────この声だけが頼りだな…
この音が遠くなってしまえばそれで最期だろう。
スス…─────
襖の開くゆっくりとした音が聞こえた。
ひすいに気遣っているのだろうか、足音もほぼしない。
─────政宗さん、かな…?


