梵天丸は恥ずかしそうにひすいから目を反らし、小さな声でありがとうございます、と呟いた。
ひすいはふっと微笑んで政宗の方を向いたとき───
「あれはっ────!」
政宗の背後から布を被った男が刃を向けて近づいてきていた。
──────迷うことはなかった。
梵天丸の頭から離し、彼のもとへ駆け寄る。
後ろの方で、母様?と呼ぶ声がした。
不幸にも梵天丸や政宗にさえ、あの男の存在は気づかれていないようだ。
「ん?ひすいか?」
政宗はひすいには気づいた。
笑ってこちらを向いている。
しかし、政宗の背後には既に男の影が迫っていて────
「政宗さんっ────!」
「伊達政宗、覚悟っ…!」
グサッ───────
───────ピシャッ
半歩遅れて何かが飛び散る音がした。
「……………ぐっ、ぐはっ!」
そして、多量の血を口から吐き出す。
「ひすいっ────!」
刺されたのはひすいだった。
間一髪のところでひすいは政宗の盾になったのだ。


