「母様、見惚れましたか?」
「みほっ…?!」
まさか梵天丸にこのように言われるのとは思っていなかったらしく、不覚にもひすいは顔を真っ赤にしてしまった。
そんな初にも甚だしい彼女の顔を眺めて、梵天丸はにっこりと笑った。
「僕も、見惚れてしまいます…」
「え。梵天丸もか?」
「はい。いつかはあのような太刀捌きで父様のお役に立ちたいのです。だから僕は、ここから少し遠くで父様を見ることもあるのですよ」
確かに、ここから政宗に声をかけるにしては遠すぎる。
しかも向こうからではこちらは死角になるのではないかと思う。
もしかしたら、梵天丸はあのように真剣に取り組む政宗の邪魔はしたくないのかもしれない。
だから、ひすいをここへ連れてきたのだ。
義父といっても、その彼の父に対する心配りに心が温かくなる。
ひすいはそっと梵天丸の頭に手をのせた。
それまでずっと政宗の方を眺めていた梵天丸は驚いて、ひすいの手に自分のを添えるようにして、見上げた。
「母様?」
「お前はもっと強くなるよ…」
それほど思いやりがあるのだ、その心を他人へも注ぐだろう。
それこそ人を強くさせる代物であると思う。


