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「母様っ!」
ひすいはまた米沢城を訪れていた。
あの一件からひすいは政宗を意識し始めるようになっていた。
「おぅ、梵天丸。久しいな」
片手を挙げて梵天丸の方へ近寄っていくと、彼は小十郎と同じように、手を顎に添えて微笑んだ。
「何を仰いますか。昨日もいらしてくれたでしょう?」
「あ、あぁ…。まあ、そうだったな」
毎日来るのは相手に迷惑だろうか?
そんな不安を掻き立てながら、ひすいは中庭を挙動不審に見渡した。
それを見ていた梵天丸は悲しそうに呟いた。
「父様、ですか…?」
「なっ…?!」
ひすいが慌てて梵天丸へ視線を向けると、彼は下を向いてしゅんとしていた。
「あ、あのな…。別に政宗さんだけじゃなくて、お前にも会いたいと思ってだな…!」
図星だったらしく、ひすいは苦し紛れの言い訳を試みたが、無論聡明な梵天丸を欺けられるはずがない。
それでも必死に言い訳をしてくれたことが嬉しくて、梵天丸は顔を見上げて微笑んだ。


