刹那、ツバメは立ち上がった。
「何処に行くのだ、ツバメ───」
「俺も拝見してくんだよ、その…『抱きたくなる女』にな」
不気味なほど口角を釣り上げ、ツバメはその洞窟をあとにした。
ツバメの気配が消えると、トンビの深いため息が響いた。
「誰が『抱きたくなる女』などと言ったんだ…。あの、破廉恥め」
「ふふ、もしくは…、僕の意を汲み取ったのかもね」
「悠?」
悠は『毛皮の椅子』に深く腰掛けた。
「彼女は源九郎に拾われる前は抱かれて生計を立ててたらしいよ。………もっとも、良い暮らしではなかっただろうけどね」
「悲惨だな」
「ふふ、そうだね。まあ、だから男に抱かれるのは彼女自身慣れてるんじゃないかな?彼女の心は別としてね」
「…………」
悠は足を組み直し、頬杖をついた。
「早く手中に収めたいよ。………ねぇ、『名もなき僕のお姫様』?」


