奥州の山賊






「ここに、毒が塗ってある…」





そう言って指差したのは暗闇の中でも輝かんばかりの刃だった。





「さしもの伊達政宗も、この毒には勝てまい」





「ちょっと待てよ。なぜ毒を塗った…?俺なら、そんなこしゃくな真似をしなくともあいつを殺すことはできる」






チッチッチッ…






舌が鳴る音がした。







それは後ろからした。




この客も大方の配置は把握しているのか、すぐに誰が自分を馬鹿にしたのかがわかった。







「お前、それって自負心?大名がお前ごときに殺されるかよ」





赤髪のツバメは嘲笑うように声を上げた。





よほどおかしいのか、しまいには腹を抱えてぴーぴー鳴く始末だ。




そんな姿にため息をつく悠の一方で、客は歯ぎしりがするぐらいまで奥歯を噛み締めていた。







「───ツバメが言うのも一理ある。伊達政宗を侮ってはいけないよ」





念を押すように悠にも言われ、客は不機嫌な顔をした。






「ちぇっ。………わかってるさ!」






そして、乱暴にも悠から懐刀とその鞘を奪い取った。





そんな様子に悠は静かに笑う───