「───!!」
その静かな声の裏に隠された感情を感じ取り、ツバメは息を呑んだ。
ツバメは何も言えなくなり、そのままもといた位置に戻っていった。
「………悪いね、僕の連中が」
「いや───」
「ツバメも悪気があるわけじゃないんだ。ここは静寂な洞窟だから、その声はちょっとツバメにとっては目障りだったみたい。………でも大丈夫。もう、襲ってこないから」
何を根拠にそう言っているのかわからなかったが、客はその出来事で悠の圧倒的な強さがあるのだと本能的に感じ取った。
「本題に戻ろう。君は、彼女が欲しいのだね?」
「……………ああ」
「君の…、仲間を裏切ってもかい?」
客が頷いたのを、悠はこの闇ながらわかった。
声に出せないのはまだ彼自身に罪悪感があるからだろう。
だが、彼からはそれよりも譲れないものがあるのだ。
「じゃあまず、邪魔者を始末しないとね─────。トンビ、ここへ…」
闇の中からひとつの気配が現れた。
「…………」
トンビと呼ばれた長身の男はすっと懐刀を片手で手渡した。
それを悠は受け取り、鞘を抜いた。