小鳥たちがさえずりあっている、そんな深い深い森の中にひとつの洞窟があった。
奥へと足を踏み入れれば、そこは暗黒の世界────
その一番奥に、悠はいた。
ひとりがげの大きな椅子に座っている。
─────ただし、『ただの椅子』ではない。
そこには鼻を覆いたくなるような腐敗臭が漂い、初めてくる者を圧倒させるような椅子なのだ。
熊に、猫に、犬、山羊、兎、狐、狸…
悠が殺めた動物の毛皮がその椅子を彩っていた。
そして、その椅子の座する部分には──今となっては底の方に眠っているが、ヒトの髪の毛が敷き詰められている。
もちろん、悠が殺した人の髪だ。
他にも、至るところにヒトの髪の毛などあるのだが、この二人の髪の毛だけは、自分の座るところに敷き詰めようと考えていたのだ。
一人は幼少時代に殺した自分の母親…─────
そしてもう一人は─────