ひすいは目を細めて<鷹>の男たちを見回した。
「心配すんな…。俺の居場所はここしかねぇんだ。絶対に、帰って来る」
「姉貴ぃ…」
「じゃ、行ってくるからな!………行くぞ、豆吉」
ひすいはそう言って、森の奥へと走りだした。
豆吉も無言で後ろを着いてくるのがわかる。
「絶対だぜー!絶対、帰ってきてくれよ!俺たちゃずっと姉貴を待ち続けるからなっ…!」
木々の間をそんな声が響きわたった。
しかし、ひすいはその返事はせずに黙々と足を進めていた。
「…いいんか?あんな別れ方をして─────」
豆吉が後ろから声をかけてきた。
その言葉に肩を震わせたひすいは徐々に速度を落とし、終いには足を止めて顔を俯かせてしまった。
「最後の言葉だって、せめてさ…──────」
動かなくなったひすいを下から覗き込もうとした時、豆吉は思わず息を呑んだ。
「…………」
「─────あんた…、泣いてんのか」
必死に涙が出まいとしているのか、下唇を噛み、瞳を震わせていた。
しかしその努力は虚しく、ひすいの瞳からは大粒の涙が流れ出ていた。
「泣いてねぇよ……!」
ここまで決定的な証拠があるのに、彼女は否定する。
確かに、彼女らしいと言えばそうなるだろう。
豆吉にでさえも頼ろうとしないのだ。


