奥州の山賊







─────無意識のうちに呟いてしまっていた。






「くそっ!は、恥ずかしいったらありゃしねぇっ…!」






口許を押さえながら駆け抜け、熱に染まった頬を冷やそうと試みた。





─────あの人はきっと自分がどんな容姿か理解していないのだろう。





本人の前では決して言うことはできないが、あの容姿があったからこそ、豆吉や源九郎に出会う前の生活が成り立っていたのだ。






今ではあのように強気な態度をとっているが、いつ隙がでるかわからない。



そんな彼女の弱点につけこんで迫ってくる男は五万といるだろう。





────だから、俺が着いていくんだ。







何故あんなことを言いだすことになった契機は知りえないが、あの瞳は本気であることを物語っていた。




なら───、自分はそれに着いていくまでだと思えることができた。







「……俺がいれば、変な虫は寄り付かねぇしな」







また、────これも可能性が低いことだと思うのだが────共に旅をしているうちに、彼女が自分の秘める想いに気づいてくれればいいなとも考えていた。