「―――――俺は、あんたみたいな人が天下人になるべきなんだと思うよ」
「ふん、何を言うか。俺は天下を取る独眼竜ぞ。そんな当たり前のことを申すでない」
ふと漏らした意見に、想像通りの返答が返ってきて、ひすいは思わず笑ってしまった。
「そうだよな。あんたは…そうでなくちゃ…」
「ひすい?」
ひすいは政宗から一歩退き、目を閉じて大きく深呼吸してから言の葉を紡いだ…――――――
「…俺、三河に行ってくる」
「なん、だと…」
目の前の女が言っていることが理解できずに、政宗は目を見開いた。
そんな様子にひすいは申し訳なさそうに笑う。
「源九郎が言ってた…。『直に大きな戦がある』んだとよ。あんたに天下を取ってもらうために、俺は…………三河に行く」
「冗談はよせ……」
政宗が指先を震えさせながら手を伸ばした。
きっとまだ信じられないのだろう。
しかしもう、決めてしまったことなのだ。
政宗が毒で倒れたあの日のように、ひすいはまた彼の手を包み込んだ。
「冗談じゃねぇよ。俺は本気さ……」


