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今思い返してみても、微笑ましい。
小十郎は手を顎にあてて、微笑みながら瞳を閉じた。
「まさか五つにして…――――」
まぁ、かや自身もまだまだ幼い。
今後の展開が楽しみだと、小十郎は思った。
「…―――――ま…、――――……さまっ!」
遠くから若い女の声が聞こえた。
どこか聞き覚えのあるような声だったが、小十郎は構わず歩いていた。
だが直に、それは大きく、確かなものになり…―――――
「景綱さまっ!」
自分を呼んでいることに気付き、後ろを振り返る。
自分を《景綱》と呼ぶ人はきっとひとりしかいないだろう。
小十郎が振り返った先に、小走りで袖を気にしながら手を振っている女がいた。
「小雪さん、お久方ですね」
「えぇ、ちょうど景綱さまのお姿がお見えになりましたので声をかけてしまいました。…………お忙しかったですか?」
小雪と呼ばれた女は遠慮がちに小十郎を上目遣いに見た。
すると彼は優しく笑って首を振った。
「いいえ。今日は政宗様に頼まれて団子を買いに来たのですよ。公務ではありませんので、さほど忙しくはありませんよ」
「よかったぁー…。私、もしそうだったらって心配してしまいましたわ…」
小雪はほっと胸を撫で下ろすようにふぅと息をつき、額に付いていた汗を手で軽く拭い取った。


