さすがにこれは小十郎も頭を悩ませ、渋々承諾することにしたのだ。
「―――まぁ、また別の者が毒を盛る可能性も消えたわけではありませんものね。私が赴くのは正解でしょう…。―――――少々、許し難いですが」
小十郎はぶつぶつ言いながらも城下の道を進んでいった。
――――――毒を盛ったのは輝宗様の奥方でしたね…
正確には、その女中の『かや』という少女である。
きっと、彼女にことつけられてそうしたのだろう。
だが、この二人にはお咎め無しという判断が下されている。
奥方の方は勿論政宗の計らい。
そしてもう一方は驚くのだが、何と梵天丸が言ったからであった。
あの後、かやが毒を盛ったと確定したときに梵天丸はわざわざ小十郎へと赴き、頭を下げた。
――――――
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「お願いします、小十郎。かやを城から追い出さないでください」
いつもとは違う梵天丸の雰囲気に少なからず小十郎は混乱していた。
手を顎に添え、思案する。
「そう申されましても…」
「そこを何とか…っ!」
梵天丸は更に深々と頭を下げる。
―――――何故彼はここまで必死に彼女を助けようとするのだろう?


