刹那―――― 頭の身体はその家屋の方に赴いていた。 「――――?!………ひぃっ!あ、あんたはっ!」 「さ、山賊女っ!ここにはあんたの欲しがるもんはねぇっ!」 男は妻を守るように女を腕で隠した。 ――――が、あの赤子は頭と夫婦の間に置かれていた。 まるで、そいつを殺してくれ、攫ってくれと言っているかのようであった。 頭はその夫婦を冷たく見下し、間に置かれた赤子を優しく腕で包み込む。 「………こいつは貰ってく」 一言そう言って、頭は出ていってしまった。