そのことについても、義姫はまた自分を責め立てた。
そしていつしか、彼女は政宗を避けてしまうようになってしまったのだ。
その隻眼にしてしまったのは自分の所為だ。
そう思うと真正面から政宗を見ることはできなかった。
そんな母を見て、政宗自身も自分の力不足を悔いていた。
だから、肖像画は両眼で描かせたし、邪険に扱うことも一切しなかった。
それが彼なりの、母に対する愛情だった。
しかし、そんな機微な愛は受け取って貰えず、今に至るのである。
そんな複雑な事情をしらないひすいはただただ政宗の手を握り返すしかなかった。
「あんたは、母さんのために天下が取りたいのか……?」
返事はない。
これは一方的な政宗の呟きだったことをこのときひすいは忘れていた。
問いかけに全く返答がないことに、あぁそうだった、と自嘲する。
「…けど、あんたの気持ち――何となくわかった気がするぜ」
ひすいは片方の手で政宗を撫でてやった。
それが気持ち良いのか、政宗は頬を緩ませて、その手に擦り寄ってきた。
ひすいは半分驚きながらも、最後には呆れたように息を吐いた。
「まったく…。猫みたいになりやがって、起きてる時とは考えられねぇな」
政宗が母の愛を受けられなかったことを不憫に思ったのではない。
だがしかし、彼女にはひとつの決意が揺らいでいた。


