「政宗さん、あんた…」
ひすいが何かを言おうとしたとき、政宗の握る手に少しながらも力が入るのがわかった。
「母上…、私は天下を取ると……貴女に約束します。――…それがゆえ、どうか…私から…離れないで――――」
政宗は義姫に毒を盛られたことを知っていた。
だが、それも世間一般には肯定はされないだろうが、彼女なりの理由があった。
――――義姫が政宗(幼名は梵天丸)を産んだ時、それはそれは嬉しがった。
何故なら、我が夫の輝宗の長子を産むことができたからだ。
―――この子が輝宗様の跡を継いでくれる。
義姫は心から喜んだ。
しかし―――――
その喜びも、ある期を境に崩れてしまうことになる。
政宗が五つの時、不治の病にかかってしまうのだった。
義姫は自分の不甲斐なさを恨んだ。
輝宗は彼女の所為ではないと言ってはくれたが、それでも不治の病にかかってしまうような子を産んでしまったことがやるせなかった。
それでも、この子には生きてほしい。
生きて、この伊達家を大きくしてほしいと願い、義姫は必死の看病をした。
政宗は一命を取り留めた―――――
しかし、政宗の右目に光が宿ることはなくなった。


