生い茂った森では決して見ることができない景色だろう。
自然の中で生きる者たちから森に差し込む木漏れ日の方が趣があると言われてしまえばそれまでなのだが、ひすいはこんな景色も嫌いじゃないと感じた。
「う、ん…―――――」
「……政宗、さん?」
まさかもう意識を取り戻したのだろうか。
ひすいは政宗へと視線を向けた。
見れば、彼の口が微かに動いているのがわかる。
ひすいは耳をそばたてて、彼の紡ぐ言葉を聞き取ろうとした―――――
「はは、う…え―――、お待ち、下さいませ…」
―――――母?
ひすいは眉をひそめた。
たしか、政宗の母親は義姫という最上家の娘だったはずだ。
その彼女と何かあったのだろうか。
ひすいが思案にふけっていると、政宗の呟きはなおも続く。
「…私を、置いていかないで…くだされ―――」
天井へと震えながらも伸ばされた政宗の手を、ひすいは咄嗟に握っていた。
ひすいの手に包まれた瞬間、今まで苦しそうにしていた政宗はふっと安堵したように顔を緩ませた。
「――――そこに、居られるのですね…。母上…」
ひすいには決して使うことがないであろう、極限にまで改められた言葉。
そこに、政宗が求めていたものを感じる―――――


