―――それでも、貴方に言われたくない。
ひすいに眠る、何処か奥で何かが割れた音がした。
――――それじゃぁまるで、自分を好きでいてくれるのは政宗さんだけで、小十郎さんは全くないみたいじゃねぇか…
その事実が悲しくて、ひすいは涙を見せまいと必死に奥歯を噛み締めた。
――――俺の恋心はあんたに向けられているはずなのに…、あんたは、さも何もなかったように俺の前にいるんだな。
つらい。
あんたが大事にしているのは主君である政宗さんだけなんだな。
俺がどんなにあんたを強く想っても、それは伝わることがないのだろうな…―――――
「わかった…」
納得なんて、ひとつもしていないはずなのに、口はそう紡いだ。
確かとは言えないが、小十郎さんの申し出を断りたくない、彼の役に例え直接でなくとも立つのなら、彼の言葉に従いたい――――と、片隅では考えていたのだろう。
「有難うございます…!」
小十郎は深々と頭を下げた。
また、それに続いて梵天丸もならった。


