――――人間みんな腐ってる…。
このわが息子を殺そうとしている女にしても、自分の母にしても、<獅子>の仲間にしても…
みな自分の貪欲のためだけに生きている。
だからって、あえて自分は抗おうとはしない。
自分もまた、その腐っている人間のひとりだからだ。
自分の貪欲のままに、欲しい女を手に入れ、土地を所有し、支配者になる。
―――――この女はその過程のひとつでしかない。
「くれぐれも、お気をつけ下さいませ」
「わかっておる。侍女はそうだな…、かやでよかろう。数日前に来たゆえ、罪人としても最適じゃ」
「いえ…、僕が申しておりますのは片倉小十郎景綱のことでございます」
「ああ…、小十郎のことか」
「左様、存分にお気をつけて…」
そう言い残して僕は部屋をあとにした。
伊達政宗はあれで殺せるとして、問題は重臣の方にある。
―――――奴は侮れない。
常に周囲に目をやる彼は、僕が手に入れたいもの全てを得るのに容易くはさせないだろう。
―――――しかし、ここはやはり義姫に任せるべきであろうな。
彼女が全てやってくれるにちがいない。
「そう、僕の思い通りに…――」
悠は闇に消えていった。


