「父様……っ?!」
何が起こったのか把握しきれていない梵天丸が駆け寄ってきた。
無論、この俺でさえ事の次第がわからない。
―――しかし、これは毒に違いない…。
「誰か…っ!誰か…――――小十郎っ…――――――!」
梵天丸の必死の声もひと壁越えた先にくぐもって聞こえる。
―――――そうか、俺は毒を盛られたか…
我ながら、こんなにも冷静に判断できるのは凄いと思った。
身体は動かない。しかし、頭は多少の思考をできるみたいだ。
―――――では誰が………
と考えたところで嘲るように笑った。
――――何を言うか。疑問してみたところで端からわかっておっただろうに。
だが、これがもし真だというならば…
―――――…私は、貴女からそこまで嫌われておるのですね。
「はは、う…え……―――」
そこで俺の意識は途絶えた。