かやは申し訳なさそうに障子の隅に正座する。
「有り難きご配慮、頂きまする…―――」
そして深く一礼をしてそのまま去っていった。
梵天丸といい、あのかやという侍女といい、多様な言葉をよくもまあ適切に使うものだ。
俺は感心しながら酒を器に注いだ。
「あ!父様、言って下されば、僕がお注ぎ申し上げましたのに…」
「よいよい。――――…さて、小十郎のいないうちに食べてしまうか」
そう言って俺は酒を口に含む。
喉をからっとさせるこれが俺は好きだ。
あまり酒に強い方ではないのだが、これが癖になってついつい飲んでしまうのだ。
―――――さて、さっさとこの瓜の山も終わらせなければな…
その頂上の瓜を箸で掴んだ瞬間だった―――――
「う"っ…――――――!」
視界が湾曲状に歪んだ。
喉が熱い――――
―――――――これは、酒のものではない?
俺は喉を押さえながら倒れ込んだ。