豆吉は勢いよく駆け出し、助八と呼ばれた男のもとに寄った。
「―――――助八っ!」
豆吉が懸命に叫ぶと、思いが通じたのか、助八は暗がりの中から瞳を開くことができた。
「…………あぁ、豆吉、さ…ん―――――」
助八は力なく笑った。
既に虫の息である。
「オイラ、死ぬ…んですかね――――」
「死なせねぇ。俺が、死なせねぇよっ!」
「はい―――――――」
目を細めて笑うと、助八はそのまま頬筋を緩めた。
「―――…っ!」
豆吉は目を見開き、声を出さずに瞳から涙が流れた。
「助八……。すけはちぃぃいいいっ…――――――!」
叫ぶ声が森中に響き渡る。
「死なせねぇっつたろ!」
豆吉は必死に助八を力強く揺すった。
「豆吉…」
背後でもまた、ひすいの力なく呼ぶ声が聞こえた。
足音がしたかと思うと、ひすいは豆吉の隣に来て、どさっと膝の力が抜けてしまったように地面に座り込んだ。
そして、彼女の体重を豆吉へと傾ける。
きっと、信じられなくて力が抜けてしまったに違いない。
こんな時でも、寄りかかってきた彼女の温もりが嬉しいと思ってしまう自分が恨めしい。


