男は歯を食い縛る。
――――自分が情けなくて仕方がなかった。
「女一人さえ…――――惚れた女を守れねぇなんて…」
その心は深く傷ついていた。
自分の不甲斐なさで、彼女はあの<獅子>の頭領に口付けをされてしまった。
それは彼女が望んでいないことは知っていた。
もちろん、自分自身も認めたくない。
―――――伊達政宗のところに行くのでさえ、この男は良くは思っていないのだ。
「姉貴……」
「――――――…ん、…ぅん」
男がその名で呼びかけると、彼女はだんだんと瞼を開かせた。
「姉貴……!」
細い肩を強く揺さ振った。
すると彼女は完全に瞳を開き、瞬きを二、三回して、何か思い立ったように起き上がった。
「あいつはっ…――――――!?」
先程悠ひ蹴り飛ばされた男のことである。
「姉貴、いきなり起き上がるのは身体に毒だぜ…」
「ま、豆吉…?お前、何でここに――――?」
「あんた、最近城下に行きっぱなしで、俺ら結構心配してたんすよ。今日も何だか遅いから、様子を見に来たんすよ」
「…………そうか、すまねぇな。―――――さっき、あいつが悠に蹴られたんだ。あの男は手加減したって言ってたけど、心配で…!」
ひすいが指差した方向には男がこちら側に横向きになって倒れていた。
「あいつは……、助八じゃねぇかっ!」


