「――――…心配しないで?君の大事な人は、殺してあげるから。そうすれば君は、僕だけのものだ」
気を失ったひすいの耳元で囁いたとか思うと、悠は彼女の上を跨いだ。
「君が悪いんだよ…?――――あんなにいい声出すから……」
頬を撫で、首筋をなぞり、着物(と言っても大層なものではないが)の着合わせに手が入ろうとしたとき…――――――
「止めろっ!」
背後の五間(8メートルくらい)先で声がした。
悠はわざとらしく肩で息を吐き、叫んだ者を睨み付けるように振り返った。
「…………邪魔、しないでくれる?」
「そいつから離れろっ!」
ひすいの安全を見積ってなのか、現れた男は一定の距離をとる。
その優しさが興味深いといった顔で悠は口角を吊り上げた。
「ほら、来てみなよ。じゃないと…――――」
そう言ったかと思うと悠はひすいに口付けをする。
「……っ!」
彼女を今までずっと想い続けているこの男には耐えきれるものではない。
「てめぇぇえええ――――――!」
男は怒りに狂い、逆上した。
悠はそれを狙っていたのか、男が走り出して自分に拳を振ろうとするのを軽々と避けた。
「くそっ!」
男は舌打ちをしたが、悠が退いたためにひすいを助けられた。
「おい、姉貴っ!」
頬を叩くが反応がない。


