二人が木刀を交じり合わせようとした間に小十郎は瞬時に入り、政宗の刀を右腕で、梵天丸のを左脚で受け止めた。
「!?何をするか、小十郎!貴様、稽古の邪魔立てをするのか」
急に参戦してきた小十郎に文句を言い付けると、彼は笑顔のままゆっくりと政宗の方を向いた。
「貴方様に今、後ろめたいことはございますか?」
このただならぬ彼の殺気を感じた政宗は考え込むが、それらしいものは見当たらない。
無い。ときっぱり答えると、
「そうですか…」
と残念そうに呟いた。
「小十郎、何が言いた――――」
次の瞬間だった。
小十郎は左脚を蹴りあげたかと思うと、今度は右腕を押し返し、また緩ませた状態で払う。
そして政宗と梵天丸の木刀は空に飛んでいた。
その行く先を二人して茫然と眺めていると、さっと片腕をそれぞれ掴まれた。
「………何の真似だ」
「これから、勝手(台所)に向かいます」
「何を言うか。俺は今、ひすいに太刀捌きを見せつけておる最中だぞ。何故今、勝手などに行くのだ?」
「――――――今まで食べなかった瓜と人参を目一杯召し上がってもらいましょう」
不気味に笑う小十郎に肩が跳ねた二人は、同時にひすいのいる方へ視線を投げた。
―――――…はずたった。


