奥州の山賊






「親子って、いいよな。――――…そりゃ、あいつらは本当の関係があるわけじゃない。けど、ああやって共に稽古したり、嫌いなもんを食べ合ったり―――」






「食べ合う?」






ここで小十郎の顔が一気に変わった。





「ひすいさん、政宗様と梵天丸様の『食べ合う』とは如何なるものでしょうか?」





口は笑っているのに、目が全く笑っていない。




そんな小十郎にひすいはたじろいた。





「え、えと…。政宗さんが梵天丸の嫌いな人参を食って、梵天丸が政宗さんの嫌いな瓜を食う、んだけど……」





と言っている間、だんだんと笑う小十郎の口許が彼に相応しくないものへと変貌していく姿を目の当たりにして、ひすいは恐怖に似たものを覚えた。





「あ、あのー…小十郎さん?」





「何ですか?」





顎に手をあてて、今度こそ目も笑っていたが、これはいつもの小十郎のものではないとわかる。






「小十郎さん、知らなかった?」




「はい、存じ上げませんでした。私は先程まで政宗様を誉めていましたが、前言撤回です」





そう言うと、小十郎は二人のもとに走っていく。





――――――あわわ…、た、大変なことになっちまった。