武術の方も大変優れていた。
その潜在能力もかねてより備わっていたのだろうが、梵天丸はそれに傲(おご)ることはしなかった。
常に向上心を持ち、政宗や小十郎とこうして相対することで剣術も身につけていった。
ここで、念のため確認しておくが、梵天丸はまだ五つなのだ。
あたかも青年のようにも感じられるが、間違いなくひすいの目の前で刀を交わらせているのは幼い梵天丸である。
とても五つとは思えない太刀捌きをするものだ、とひすいは感心してしまう。
「梵天丸っ!腰が退けておるぞ…っ!」
しかし、政宗にとっては指摘するべきところがあるらしい。
「はいっ!父様っ!」
そこに若干息を切らした梵天丸が言った。
「――――…早速やっているのですね」
ひすいの横で声がした。
空気のように姿を現した彼に、ひすいは心の臓が口から出る勢いであった。
「こ、小十郎さん……っ!」
彼の名を叫ぶと、彼は目を細めて微笑んだ。
「久方ぶりです。…………もっとも、相対するのは、に限りますが」
そう言ってなおのこと笑っている小十郎を目の前に、ひすいは嫌な汗を流した。
―――――き、気付かれているじゃねぇか…
あとをつけていた件である。
―――――梵天丸に知られてしまうより、一層恥ずかしいじゃねぇかっ!
ひすいはそんなことを思いながら赤面した。
それを眺めていた小十郎の方は、顎に手をあてて愉快そうにクスクスと笑っていた。
「政宗様も気付かれておりますよ?」
「政宗さんもか…」


