ひすいは見入ってしまっていた。
本当は梵天丸の太刀捌きだけ拝見できればよいとしか思っていなかったのだが、いやはや、政宗のも驚かされた。
さすが、一国の城主である。
しかしながら、事あるごとに稽古、稽古と言っていた梵天丸も負けず劣らず張り合っている。
もっとも、政宗は勿論手加減をある程度していたゆえでもあるが――――
これはひすいが全く知り得ないことなのだが、梵天丸は齢(よわい)三つにして政宗から兵法書と木刀を授けられていた。
木刀は身丈に適した尺で測り、城下にいる鍛冶屋に本来は職としていないのにもかかわらず、無理を強いて作らせた。
また、兵法書においては日頃より政宗が愛読していたものを与えた。
―――――つまり、読みがわからない子に真名(漢字)と仮名で書かれた書物を与えたのだ。
始めのうちこそ梵天丸は茫然と眺めているだけだったが、日を重ねるごとに文字を覚えるようになり、その半年で全てを読み終えた。
驚異的な頭脳の持ち主であった。
また、それだけではない。


