奥州の山賊






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今日は、姉貴が米沢城に行く日である。





俺は、最後に言いたいことがあって、その門の横で門番に見つからないように待っていた。






―――――本当は、あの人にこの門をくぐってほしくなんかない。



できれば、今から攫ってしまいたいぐらいだ。




だけど、あの人はそれを望んじゃいないのさ。





俺といるより、<鷹>といるより、伊達政宗といることを選んだのだから………。






―――――遠くに、人影がこちらに向かっているのがわかった。





きっと、あの人だろう。





その一行はさらに進んでゆき、俺の前まできた。







「―――――っ!」




俺は息を呑んだ。




あの人は見違えるように綺麗だった。




いや、以前から綺麗だったのだが、それ以上に羽織る着物が彼女を輝かせるのか、艶やかな髪が引き立てるのか判断しかねないが、ここ数年見ないうちに大分変わっていた。





他の<鷹>の仲間は何度かあの商人の家に赴いていたらしいが、俺は一度も行ったことはない。





それは今でもあの人が伊達政宗の側室になることに反対しているという意思表示だったのだが、あまり意味はなかっただろう。