奥州の山賊






政宗は自分を遮ったひすいの言葉に目を見開いた。




「嫌いなわけ、ねぇじゃねぇか。俺は、あんたの全てが愛しいよ…。あんたから離れたりなんか絶対にしない。だからもう、ずっと一緒なんだ……」





ひすいの言葉が嬉しくて、政宗はまた更に抱擁を強めた。




「ありがとな…」





こんなに人に愛されるのは、これほど気持ちの良いものなのだと思わざるを得ない。





こんなにも、安らぐものなのだ。




「ひすい、目を閉じろ」




お前が愛おしいくてかなわない。

お前に触れたい。




言葉では表せない心の声が、胸の奥で巡っていた。




次に何が起こるかわかるのか、ひすいは頬を染めながらゆっくりと瞼を下ろした。







政宗はふっと微笑むと、彼女の顎を引き寄せ、そっと唇を重ねる。



数年ぶりに感じる互いの熱は昔と何一つ変わってはいなかった。



ただ、それまで触れなかった分のものがそれぞれを往き来するように、深く、そして優しく重ね合う。




ほどかれた二人の髪はどちらのものかわからないほど、交わっていた。













[HAPPY END]