政宗は様子を伺うように華の方をちらりと見やると、そこにはひれ伏している華の姿があった。
「華…?!」
もしかしたら、自分が一向に真正面を向いて話してくれないことに悲しんでいるのかもしれない。
そう思うと、先程まで緊張とためらいの狭間で思い悩んでいた自分に苛立ちを覚える。
「すまぬ、華…」
そう言って華の前にしゃがみこみ、肩に手を乗せようとしたとき、華の口からぼそっと何かが呟かれた。
「…………申し訳、ございませぬ」
すると華をそのまま政宗の胸の中に飛び込んだ。
あまりにもいきなりであったため、政宗はその体重を支えきれず、倒れこんでしまった。
しかし華が怪我をしないように、自分と密着させたのは無意識である。
「一体何があったのだ、華?」
その状態のまま政宗が尋ねると、華は政宗の寝巻をぎゅっと握った。
「ひすい……」
「え?」
そして紡がれたのはかつての彼女の名―――――――
「ごめん。あんたがくれた名を棄てるつもりなんかなかったんだ…。けど、そうでもしないとあんたに会えなかったんだよ、政宗さん…」
懐かしい口調に政宗は何か温かなものに包まれた気がした。


