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その夜、政宗が寝室に入るとすでに華がちょこんと座って待っていた。
「華、寒くないか?」
そこに自分が来るまでずっと待っていたのだろうか。
そう思うとそんな言葉をかけずにはいられなかった。
「いいえ。………何故でしょうか?」
しかし華はそれを知ってか知らずか、疑問符を浮かべて首をかしげ、政宗を上目遣いに見つめた。
「…………いや、特に意味は…無い」
その様子が実に妖艶で、自分の染まってしまったであろう頬を隠すついでに口元を押さえ、彼女の視線から逃れた。
「そうでございますか…」
華はさらに疑問をもったような顔で呟く。
「………」
「………」
沈黙が流れた。
なんとなくそれが堪えきれなくて、政宗は華の前に座ろうとしていたのを止め、立ったまま背を向けた。
「………お前の父と母は優しいか?」
最終的な苦肉の策がこの質問である。
しかし、この沈黙を抜け出すのにはうってつけのものであると政宗自身は秘かに自負していた。
華は目を伏せて、小さく頷いた。
「はい。どちらも、本当に可愛がってくれます」
「そうか、それは……何よりだ」
またも会話が終わってしまった。
自分はまったく異なる『ひすい』に対して緊張を抱いているのか?
ふと、政宗はそんなことを思う。
こうやって彼女に背を向けてしまうのも、一種の気恥ずかしさのあらわれなのか。
沈黙に堪えられないのも、彼女のもつ美しさに気を奪われるのを恐れているからなのか。


