――――この方は、本心で言っているのか?
わが父は、母を今もなお愛していたのではないか。
叶わぬとわかっていても、それを押し通すように今までの縁談を断っていたではないか。
気づけばこの女、母に若干似ている気もするが、よもや父は彼女をその代わりとして側室に迎えたのだろうか。
しかしかつての自分はまだ幼子すぎて母の顔は朧げである。
それでも彼女を母と似ていると判断したのは、何か感じ得ないものを悟ったからであった。
政宗が毒を盛られたとき、大きく広げた自らの手に飛び込むようにやってきた彼女に、その醸し出す雰囲気が似ていると思ったからだ。
「華でございます」
考え事で周りが見えておらず、彼女が名乗っているのだということに数秒かかってしまった。
上品な会釈をして、にっこりと微笑んだ。
その顔は『かや』とはまた違う笑みで、色気づいたようなものであった。
一方『かや』――――というのは最近親しい仲の間柄にいる侍女のことなのだが―――彼女は屈託の無い笑顔を自分に向けてくれる。
くしゃ、となる笑みが何とも可愛らしい。


