「父上と母上から『華』という名を賜りました。煌びやかな女性(にょしょう)になるようにと…」
華はもう一度頭を下げた。
「いつまでも、お側におりまする…」
「華…」
政宗がそう呟くと、はい、と柔らかな声で華は言った。
あの強気な口の利き方であった女であるはずに、今はもうその影さえ見当たらない。
政宗は少し寂しい気もしたが、この上品な彼女もそれはそれで良かったと思うし、愛が欠けることはない。
すると、襖から声が聞こえた。
「父上、いらっしゃいますでしょうか?この梵天丸、稽古のお相手をしていただきたく、こちらに参りました」
梵天丸の大人びた声に華は一瞬肩を震わせた。
「失礼します」
す、と襖を開く音が流れる。
「……おや、先客がおりましたか」
半分開けたところで華の姿が目に入り、再び閉めようとしたが、恐れながらも振り返った彼女の顔が引っ掛かるらしく、はて、と首を傾げた。
「父上…、こちらの女性はどちら様でしょう?」
すると政宗は誇らしく
「俺の側室だ」
と答えた。
「側室、ですか…?」
梵天丸は耳を疑った。


