「ありがとな、みんな…」
初めてと言っても過言ではない、ひすいの謝辞にみながみな耳を疑い、彼女を見つめた。
「あ、姉貴…?今何て…」
「あ?…だからありがとなっ!」
二言目はきちんと聞き逃さなかった。
それと伴に歓喜の声が沸き起こる。
よほど、嬉しかったのだろう。しまいには踊りだす奴も多々みられた。
そんな彼らを見て、ひすいは軽く優しいため息をつく。
「…………ったく、お前らは単純なんだよ」
拾われてから彼らと共に過ごしたのは本当に楽しかった。
<鷹>とは、ひすいにとって家族のような存在だったのだ。
ひすいはこの日、すぐに小十郎のもとへ行き、商人の娘として生きることを決心した。
―――だが、この決心を反対する者がいたことを、彼女はもちろん知らない。
世話をしてもらう商人の家は温かかった。
ひすいは元山賊であったのにもかかわらず、主人もその妻もひすいを本当の娘のように養ってくれた。
もっとも、彼らに子供ができなかったという理由もあるが、それを抜きにしても可愛がってくれた。
―――――そして、今に至るのである。


