―――――それは、あの契りをしたすぐ後だった。
小十郎はひすいの住む森に馬を走らせていた。
すると、
「小十郎さん?」
運良くひすいと出会うことができた。
「ひすいさん…!」
この大きな森から彼女を探しださなければならなかったので、小十郎はまだ天に見放されている訳ではないのだと確信した。
しかし、そのひすいは分が悪そうに目を逸らした。
「あーー、えっと……。もしかして、怒ってる?」
頬をかきながらおずおずと訊ねてくるひすいに小十郎は首をかしげる。
「はて、それは何故ですか?」
「いや、俺が政宗さんの看病を頼まれたっていうのに最後まで看とかなかったから…」
申し訳なさそうに言うひすいが可愛らしくて、つい小十郎は手を顎にあててくすっと笑ってしまった。
「いいえ、怒ってなどいませんよ。それより今日は貴女にお願いがあってやって来たのです」
「お願い、か?」
小十郎はそういうと馬から華麗に降りて、そのまま手綱を調度よい木にくくりつけた。


