商人の娘と大名といえばまさに月とすっぽん。
そもそもなぜ彼女が側室にとられるのかがわからないくらいの身分の差がある。
だからそのまま頭を上げることはしないのだろう。
政宗が上げろと言うまで上げることは許されない。
――――――こんな身分の女でさえ側室になれるのだ…、何故ひすいはなれぬのだ。
そんな憐れな女に向かって政宗は言う。
「悪いがお前を愛すことはできぬぞ」
「政宗様っ…!」
小十郎がもの申そうとしたのを女は止めた。
「全ては存じ上げていたことでございますゆえ、何もおっしゃることはありません、小十郎さん」
「……………わかりました。貴女にお任せしましょう」
―――――一体彼らは何を話しているのか?
全く状況が解せぬまま政宗が眺めていると、女は頭を伏したまま言う。
「橋本の商人の娘、華、でございます」
「華……、か。良い名だな」
「有難きお言葉…」
「だが、それでも変わらぬ。俺はお前を愛せぬ」
そう断言したとき、女の口からふっと笑う声がした。


