「…何故そこまでする?お前は<鷹>が欲しかったんじゃねぇのか」
その質問に悠はうーんと考えて込む。
「正確には君を、かな?」
「俺だと?」
悠はにっこりしたまま頷いた。
「最初君が伊達政宗公に寵愛を受けていることを知ったときは、それは単なる彼のお遊びの一環だと思ってた。けど、違ったね」
悠はひすいの頬に優しく触れる。
不思議と嫌ではなかった。
「あの人は本当に君を愛していたし、君もそうだった。…………なら、僕は君を支えるまでだと思ってね」
「もう、<鷹>を襲わねぇか?」
ひすいは悠を見定めるように見つめた。
「君のあの声が聞けないのは心許ないけど、………まあそれは彼に譲ろう。僕らは襲わないよ」
「けど…」
この誠実な瞳は偽りを言っていないのはわかる。
今までの行為の全てを許すことはできないが、今の彼を信じるくらいならできるだろう。
だが、自分には源九郎が残した<鷹>がある。仲間がある。
それらを残して自分だけ幸せな生活を送れるだろうか。
それに、たとえそれが許されたとしても政宗との身分の差が縮まるわけではない。
政宗は身分を棄てない。
それは自分も望んだことでもあるから彼は大名のままだ……。
「すぐにとは言わないさ。ゆっくり考えなよ」
とだけ言うと、悠は足を進めてしまった。
ひすいはもう一度、政宗のいる襖を眺める。
――――――政宗さん、俺はどうすればいいのだろうな。


