政宗は必死に訴えていた。
しかし、ひすいの決心は固く…――――
「あんたに会えてよかった。また、別の身分で出会っていたらこの想いは結ばれたんだろうな…………」
ひすいは悠の方へ一歩、また一歩と進んでいく。
今度は、自らの意志で。
「何を言うか、馬鹿者。俺はお前以外を愛せぬぞ!」
それ以降もひすいをつなぎとめる言葉を並べようとしたが、彼女の柔らかな微笑みに口を開くことを忘れてしまった。
「ありがとう……」
一言そう言って、後は何も言わずに悠のあとをついていってしまった。
襖を閉めて数歩してから、やっと状況が把握できたのか政宗がひすいの名を叫ぶ声が聞こえた。
それに悠は笑みをこぼす。
「彼は本当に君が好きだったんだね。横から見てたけど、あれこそが本当の愛と呼ぶのだろうね」
こいつは政宗を認めたのか?
突拍子に言われたので、今までの行為を考えるとその言葉を疑いたくなる。
ひすいは何か策があるのかもしれないと警戒を強めた。
「何が言いたい…?」
「言いたいって?何もないよ、ただ彼を誉めているだけさ」
背中しか見れないひすいにとっては悠がどんな顔をして言っているのかはわからない。
だが、クスクスと笑う声は嘲るものとはどこか異なっていた。


