「こいつとお前を一緒にするな!」
「随分とわかったような口を利くんだね、奥州の大名は。今まで裕福な暮らししかしてこなかった貴方に、僕ら山賊の何がわかるっていうのさ?」
「…………!」
確かに知らない。
ひすいがどれほどの苦悩に遭ってきたのかは、あの初めて会ったときにわかったつもりでいた。
しかし、事実は違うのだ…。
彼女が<鷹>に入る以前の生活も政宗は知らない。
伊達家に生まれたその日から、政宗は大名の跡取りとして育てられてきた。
―――――もっとも、彼自身も全てが裕福な暮らしだったとは言い難いが――――――
大名だからこそ、森に住む人々の暮らしを知らないのだ。
悠は勝ち誇ったような顔で政宗を見た。
「これでわかったろう?伊達政宗公、貴方は彼女と共にいてはいけない。『ひすい』の隣はこの僕だ…!」
悠が声を上げるとそれに反応したようにひすいのうめきが収まり、むくっと立ち上がった。
そしてそのまま足をふらつかせながら悠のもとに一歩、一歩と進んでいた。
政宗はそれが信じられなくて、時が止まったように動かない。
悠は口角をつりあげ、ひすいが己が手に収まるのを待っていた。


